総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)


「いらんわ」

「ふふ。遠慮する必要ありませんのよ、愁さま。今宵は妾(わらわ)が王子の夜伽をして差し上げますわ」

「いつもの調子に戻ったら戻ったでウゼェな」

「うざいって言いながら口元緩めてるんでしょ、ヘンタイ」


――まだ、怖い。


他人に心を許すのは。


なにかにすがるのは。


それでも


幻だけじゃなくて


愁の言葉にも、少しずつ、耳を傾けてみるのもいいかもしれない。


「時間くれるってことは、愁は、オレの言いなりってことだよね」

「歪んだ解釈すんな。むしろ後輩のお前がパシられろ。そして俺が受験生だということを考慮した上で頼み事してこいや」

「落ちちゃえ☆」

「縁起でもねぇこと言うな」


そしたら、

あと一年はオレとバカやってる期間伸びるでしょ?


「ねえ、愁」

「ん」

「オレ、重いよ」


道端で配ってるティッシュみたいに

軽い気持ちで受け取ったら後悔するよ。


「ンなこと知ってる」

「……!」

「見た目モヤシみてぇなのにな」

「あは。オレに脂肪ついてちゃキャラじゃないでしょ」


拾うんだ。拾っちゃうんだ。


それじゃ、もしキミがオレを裏切ったら


そのときこそ


――めった刺しにしてあげるのも悪くない。

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