総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
「菓子ばっか食ってねーで。身になるもん食えよ」
「食べてるよ。A5ランクの肉も。時価のついた生魚も」
「スーパーの飯でもいいから毎日バランスのいい食事とれっつーの」
「お母さんみたい」
「はあ!?」
「お母さん、みたい」
「…………」
いつもの面白くないツッコミが入らない。
……ああ、気を使ってるのか。
オレからは、
あたたかい家族がいる気配どころか
家族という存在そのものが微塵も感じられないもんね。
「燐」
「なに、ママ」
ママ、だって。
自分で言っててウケる。
「お前。親とは、会ってないのか?」
「いないよ。そんなやつ」
「……そうか」
オレに親なんていない。
親なんて、呼べるひとは、いない。
「キミは、親が鬱陶しいと思ったことある?」
「ああ」
「反抗期だもんね」
「うるせ」
「オレにはさ。鬱陶しいって主張する選択なかったよ」