総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)


反抗する力、なかったよ。

要らないって言ってやる余裕も。

家を飛び出すチャンスも。


……首を絞めてやることもできなかったんだ。


そんな考えに至るまでに


――先に捨てられちゃったんだから。


「なにがあったか知らないけどよ。赤ん坊は一人で飯は食えねーぞ。トイレにだって行けねぇ。その年まで生きてきたってことは。一人じゃなにもできない期間に誰かしらの世話になったっつーことなんじゃねぇか?」

「世話になったなんて恩着せがましいこと言わないでよ。望まれずに生まれてきたんだから。放っておいてくれたら死ねたのに」

「お前、死にたいのか」

「そうだね。退屈なときは、生きててなにが楽しいかわかんないね。いつ死んでもいいって思うから。なんでもできちゃうんだろうな」

「俺はお前が生きててくれてよかったと思う」

「同情してるの?」

「ここまでクソ恥ずかしい話ができるダチって。お前が初めてだ、燐」

「……はは。結局自分のためにオレを繋ぎ止めたんじゃん」

「ああ、そうだな。だから。俺といてお前が楽しいって思えるようなことがあれば……いいんだが。なんかねーかな」


そこは真面目に考えるとこじゃないでしょ。


……バカ。


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