総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
「話をすりかえるな。たしかに免許があるからといって皆が安全運転できているとは限らない。酒気帯び運転やながら運転は、徹底的に滅びればいいと思う」
「だよねー。死んでほしいよね」
「そこまで言ってねぇわボケ!」
「運転ちゃんとするお利口な無免許のボクと。ちゃんとしない異常者なクソヤロー。どっちが正しいかなんて明白なのに」
「どっちも正しくねーわ。お利口な無免許って矛盾どうにかしろ。勉強と訓練を受けた人間でも、ときに判断を誤る。そうじゃない人間が乗るなんてどう考えても危険だ」
「乗り回してるって言ったの愁じゃん。愁から見てボクのテクニックに問題あった? 違和感なかったでしょ。なんなら手信号だってできるよ。標識もすべて頭に入ってるし。テスト受けたら満点とれるさ」
「だとしても。この国に生きる以上、ルールはルールだ」
「すっかり警察官だね、愁。現行犯タイホしちゃう?」
「……っ」
いくらでもオレを捕まえられるのに。
とことん甘いね、キミは。
「タバコ吸うクセに」
「……もうぜってぇ吸わん」
「あーあ。ルールって嫌だなあ。ちゃんと免許とる気だって、そのためのお金だって準備できてるのに」
「なら、直ちにとれ」
「とれないんだってば」
「納得のいく説明を求める。ただし、くだらない言い訳は聞かない」
「端的に言えるよー。10文字以内で」
「ほう。言ってみやがれ」
「ねんれいがたりない」