総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)


なんでオレ、

嫌いだったやつの言葉に励まされて。


この背中は

なんで、こんなに大きいんだろう。


ポケットの中で携帯が震えている。


そっちのポケットは――、お姉さんからだ。


「……捨てちゃおうかな」

「なにか言ったか?」


オレにも見つけられるのかな。


金で、手に入れられないもの。


……幸せ。


「愛してよ」

「またそんなこと言って、」

「愛をちょうだい。愁」

「……燐」

「別に手を繋がなくていい。キスなんていらない。肌と肌で触れ合う以上の温もり、感じさせてよ」


嘘でもいいからぬくもりを求めた。

満たされもしないのに。


どうしてもやめられなかった。

それしかないと思ったから。


存在なんて、しないままでいいと。


生まれることをとっくの昔に諦めていた。


「おう。まかせろ」


またそうやって簡単に返事する。


「言ったね?」

「俺も。幻も。ユウだって、お前のこと想ってる。それを忘れんな」

「さっむ」

「ひ、人がクッソ恥ずかしいこと言ってるときに……」

「さーむーいー!」

「叫ぶな」
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