総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
いま
“突き飛ばす”って、言った――!?
「ダメですっ……殴り合いなんて! 絶対に!」
慌てて駆け込んだ、燐さんの部屋では。
「あーあ。いいところだったのに」
なぜか。
「……よく来てくれた」
燐さんが、愁さんに、馬乗りしていて。
「っ……コラ燐」
「ぎゅーってしてるだけ」
なぜか――ハグ、しちゃってて。
「あっ、愁……」
「ヘンな声だすな。つか、女声はやめろ」
「キミが抵抗した手が。ボクの、弱いところに」
「知るか。ユウ。ちがうんだ。これは……」
「水くさいなー。チュウした仲なのに」
「ち、違うんだぁあ!」
「……失礼シマシタ」
きた道を、戻って、部屋に辿り着く。
燐さんと、愁さんが。
喧嘩して。
愁さんが、ご飯持って入って。
(……そのあとなにがあったの?)
頭がまわらなくなった、そのとき。
ポケットの中の携帯が、震えた。
慌てて取り出すと、着信だった。
(幻さんだ)
「も、もしもし!」
『どうした。慌てているな』
「あっ……いや……それが」
『ん?』
「ハグ、してて」
『……なに?』
「チュウも……!」
『誰と』
……だれと?
「いや、わたしじゃ、なくて。ですね」
『……落ち着け、夕烏』
はい、落ち着きます。