総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
呼吸を整えたあと、
見た光景をありのままに説明する。
『そういうことか』
反応うすすぎます、幻さん。
もうちょっと驚いてもよくないですか?
というか、
どういうことですか!?
『まあ。放っておきゃいい』
「そ、そうなんですか?」
『なるようになるだろう』
それは、そうでしょうが。
このような事態に動揺の色をまるで見せない幻さん、さすがです。
『今日は絶対に外でんなよ』
「はい!」
『朝には通過するみてーだな』
「そっちは、大丈夫ですか?」
『オッサンが心配してたな。屋根飛んでかねえか』
あ、いま、
例のバイク屋のオーナーさんもいるんだ。
となりの部屋にいるのかな。
「…………」
声、聞いたら
会いたくなってきちゃった。
電話ってすごいなあ。
まるで幻さんがここにいて耳元で囁いてくれているみたい。
ドキドキ、する。
『なんか、あれだな』
「……?」
『声聞くと。会いたくなるな』
――!
「あ、危ないですよ。こんな天気で出歩いたら」
幻さんが。
幻さん、も。
(同じこと考えてくれてた、)
『ニュース見てたら、看板落ちてるとこあるらしいな。トラックも飛ばされたりしてて』
「威力すさまじいですね!」
『それでも。夕烏に会いたくてたまらねえ』