総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
「……わたしも、会いたいです」
『キスしてえな』
ああ、またそうやって
そんな離れたところからも
こんなにも、わたしをドキドキさせてくるんですね。
「はい」
『触れたい』
「……っ、はい」
『乱したい』
「幻さん、電話だと、いつもより大胆ですね?」
『……かもな』
眠そうな声、してる。
ひょっとしたら、帰ってご飯食べて眠っていたのに、わたしがメールで起こしちゃったのかな。
だとしたら、他愛もないメールで睡眠妨害したのが申し訳なさすぎる。
でも、かけてきてくれたの、嬉しい。
「あ、あの。電話ありがとうございました!」
「……ん」
返事が、短い。
やっぱり眠いんだ。
「それじゃあ。また明日。朝、よろしくお願いします」
返事がない。
寝ちゃったっぽいな。
幻さんは今頃、夢の中か。と考えた
そのとき。
――ドンドンッ。
扉を叩くような音が聞こえてきた。
台風のせい?
いや、でも、いまのは……。
『誰か、来たみてえだな』
少し意識が戻ったような声になる、幻さん。