総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)


「……メイクなんてどこで勉強したんだよ」

「適当。本とか雑誌読んだり。でも自己流がほとんど」


偏見があるわけでも否定する気もねえが、燐が女の格好やメイクをしたい気持ちは俺には理解できない。


――男は男らしく。


時代遅れだの差別だのと言われてしまいそうだが、なんつーか、こんなキラキラした店に男が来るもんでもねえと思う。俺は一生したくならないだろう。


「好きだな、お前も」

「着たいものを着たいし、やりたいメイクをやりたい。オトコがピンクを着てなにがおかしいの。キティちゃんみたいなリボンつけて、コスメ選んで、スカート履いてなにが悪いの。それが迷惑だってなら感じる方の問題さ。こんなに似合うんだから。こんなにカワイイんだから。むしろ取り入れなきゃ勿体無い」

「言い切ったな」

「でもね。それだけじゃ、ダメだよ」

「は?」

「みんなから必要だって思われるには。それだけじゃ、ダメなんだ」


(……?)


「常にトレンドをチェックしてる。これは完全にもう習慣になっちゃってるね」


――習慣?


「正直、流行りなんてどうでもいい。今年はパープルがトレンドなんて聞けば若草色が着たくなる」

「……捻くれてるな」

「人と同じことするの、好きじゃないんだよね。それでも学ぶ。どうでもいいものにだって触れるようにしてる」

< 82 / 271 >

この作品をシェア

pagetop