総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
「……メイクなんてどこで勉強したんだよ」
「適当。本とか雑誌読んだり。でも自己流がほとんど」
偏見があるわけでも否定する気もねえが、燐が女の格好やメイクをしたい気持ちは俺には理解できない。
――男は男らしく。
時代遅れだの差別だのと言われてしまいそうだが、なんつーか、こんなキラキラした店に男が来るもんでもねえと思う。俺は一生したくならないだろう。
「好きだな、お前も」
「着たいものを着たいし、やりたいメイクをやりたい。オトコがピンクを着てなにがおかしいの。キティちゃんみたいなリボンつけて、コスメ選んで、スカート履いてなにが悪いの。それが迷惑だってなら感じる方の問題さ。こんなに似合うんだから。こんなにカワイイんだから。むしろ取り入れなきゃ勿体無い」
「言い切ったな」
「でもね。それだけじゃ、ダメだよ」
「は?」
「みんなから必要だって思われるには。それだけじゃ、ダメなんだ」
(……?)
「常にトレンドをチェックしてる。これは完全にもう習慣になっちゃってるね」
――習慣?
「正直、流行りなんてどうでもいい。今年はパープルがトレンドなんて聞けば若草色が着たくなる」
「……捻くれてるな」
「人と同じことするの、好きじゃないんだよね。それでも学ぶ。どうでもいいものにだって触れるようにしてる」