総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
そんなことを燐が考えてるとは思いもしなかった。もちろん調子のいいこと言ってるだけという可能性もあるが。
「人の好きなものに目を向けられず貶しているようじゃ、そこまでの人間で終わる。求められもしない。せいぜいくだらないモノ同士で群れていればいいよ。ボクはそのレベルには落ちたくない」
俺はこのときの燐の言葉は嘘偽りない真実だと思えてならなかった。燐に人が集まる意味も……、少しは理解できたような気がする。少しだけ。
努力してんだな。コイツもコイツなりに。
好き勝手してるように見えて
――いいや、好き勝手してるには違いないが。
それでも
意外に相手の“目線”で物事を捉えていやがる。
いつも自分本位なクセして。
やろうと思えばできるってことかよ。
……怖ぇやつ。
とても褒められた生き方じゃねーが
ただ単にヒモってわけじゃなければ
チヤホヤされてるだけってわけでもなさそうだ。
自分の価値を高めること。
それが、燐の生き方なのだろうか。
なあ、燐。
俺ら、黒梦がなけりゃ、一生出会うことがなかったんだろうな。
少なくともこんな風に同じ目的で動いたりなんてしなかっただろう。
お前みたいな人間から、なにかを悟ることだってなかった。
……悪かったよ。
見た目でお前のことなにもかも決めつけてた、俺。
でもテメェがやってることは大半がめちゃくちゃだからな?
「……それ。全部買うのか?」