総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
「もちろんさ」
軽く計算しただけでも頭が痛くなる金額だが幻に請求するつもりか。大丈夫かよ。
幻の懐事情なんざ俺にはわからねーが、あいつにはお前みたいなパトロンもいなければ、俺が親のスネかじってるようなこともしない。
幻は、一人で生きていた。
……ユウに出逢うまではな。
バイク屋のオッサンに世話んなってるみたいだが、あれは持ちつ持たれつってとこじゃないだろうか。
幻を支えたい人間なんていくらでもいるのに、これまで誰かを頼ろうとはしてこなかった。
俺が出逢った頃には今の幻がいた。
出逢う前のハナシは聞いたことがない。
いくら仕事してるからって、そんな安くもないもんポンポン買ってたらアイツ破産するんじゃね……?
「あー、お金の心配ならいらないよ」
考えを読まれた。
「魔法のカードがあるからねぇ」
「……まさか」
“お姉さん”の金じゃねぇだろうな?
人の金で、女子へのプレゼント買おうってのか?
「……クズ」
「なに?」
「……なんでもねぇよ。はやく行こうぜ」
「次はウィッグだね」
「いつ終わんの」
「他は、靴くらいかな」
「女子の買い物は長いと聞いたことがあるような、ないような……。つか、服は?」
「服はボクのあげるよー。体型似てるし。ああ、でもあの子は胸が大きいから。着られないのも結構ありそうだね」
「…………」