癒しの魔法使い~策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦~
「先輩の怒りはごもっともだと思います。だけどもう少しだけ、ハルのこと信じて待っててくれませんか?」

梨々香は対面に座る光琉に頭を下げた。

「君たちは何故、遙季と一緒にいるんだ?俺から離れたい遙季の協力をするためか?」

「違います!とてもハルを一人にしておけなくて、私も悠生もこちらに進学することにしたんです」

梨々香は涙ぐみながら両手を震わせていた。

その手を悠生がそっと握りしめた。

「゛光琉を裏切って傷つけた。もう嫌われても仕方ない゛って泣くんです」

「光琉さんから離れるのはハルの本望ではありません。ただ、あの事件のことでハルは何かを隠してる。それはなんなのか、俺達にも話してくれません。たぶん,,,光琉さんのこと,,,が関わってる」

悠生の言葉に、光琉は驚いて目を見開いた。

「遙季は、距離を置きたいんだと思います。自分の頭を整理して、光琉さんと向き合うために」

あの事件に自分が関係している?そんなはずは,,,と考えて、思い当たるのは遙季の不自然な態度。

確かに、光琉との一緒の登校を避け、身体的な接触を避けられ始めたのはあの事件からだ。

自分が原因ではなく、事件そのものが原因だと思って楽観視していた。

「こちらにいる間は私と悠生で、ハルを守ります。だから光琉先輩も遙季を信じてあげてほしいんです」

「だか、真島くんが一緒に住む必要は,,,」

「大丈夫です。俺と梨々香は付き合ってるし、あそこは下宿みたいなもんで、大家さんも同居の個室制ですから」

と、悠生が笑った。

「ハルは光琉先輩が大好きなのに、他の男と付き合うはずがありません。言い寄る奴がいたら私達が邪魔しますから安心してください」

「情報は流しますよ。もちろんイベント毎の写真もね」

あの事件に自分が関わっていたことを知り、動揺していた光琉は、梨々香と悠生と連絡先の交換をして別れた。

そしてその日は、遙季が面接に行っているというコンビニで待ち伏せをして、遙季の姿を確認だけして帰った。

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