癒しの魔法使い～策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦～

｢若菜さんを脅したんですか？｣

回りくどい表現は使わず、遙季は単刀直入に聞いた。

｢嫌だなあ、確かに僕は、若菜に警察に言わなくてもいいのかい？とは聞いたけど、通報するとは言ってないよ。体で迫ってきたのはあっちだし強要はしてないよ？｣

男女のことは複雑でどちらがどうとは言いがたい。

しかし、その言葉を伝えなければ生じなかった関係というのもあるのだ。

｢やきもちを妬いてくれたのなら嬉しいな｣

独特の思考回路に頭を抱えたくなるが、このまま誤解をさせたくない。

｢とにかく、八代はダメだよ。あいつは今、若菜と浮気してるんだから｣

｢えっ？｣

ほら、と言って努が見せたスマホの画面には、並んで歩く若菜と光琉が写っていた。

｢これはさっき、僕が雇った個人探偵から送られてきた写真。間違いないよ｣

これには、さすがの遙季も動揺していた。

その隙を、努が見逃すはずはない。

｢金曜日のことだって、八代と若菜が仕組んだんだ。あんなところでバッタリ会うなんてことがそうそうあるはずないだろう？｣

努の言葉に、遙季はすっかり冷静さを失ってしまった。