【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
普通少しくらいは不思議がるものだと思うのだが、長い間狙ってきた契約がとれたことで浮かれてしまっているようだ。
それもしかたのないことだ。
今日の神永さんの契約を入れれば、うちの課は今月、達成率二百パーセントを超える。
こんなことは年に何度もあることではない。
「尾関、手続きは赤城さんがやってくれているから、君は神永様へ今後の資産運用について色々アドバイスをしてきなさい」
「え、でも。まだ仕事中ですし」
断ろうとしたわたしに小声で宮沢課長が言った。
「神永様へのご提案以上に大切な仕事など、この世にはない! 頑張ってじゃんじゃん取引してもらえるようにするんだ」
宮沢課長の目の色が〝¥マーク〟になっている。こうなったら、素直に応じるしかない。
「わかりました。用意してきます」
立ち上がったわたしに、神永さんが付け加えた。
「できれば、直帰できるようにしてきてね」
「もちろんでございます!」
わたしが返事をする前に、宮沢課長が返事をしてしまっていた。