【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
わたしは彼が差し出したペンを持って、自分の名前を丁寧に書いた。
なんだか緊張してしまい、いつもよりも慎重になる。
「一年後は、神永恵麻になるな」
「そう……なるでしょうか?」
書き終えたわたしが、チラッと彼を見ると自身に満ちた顔をしていた。
「あたりまえだろう。そうさせる自信はある。まぁ、最も今日みたいに多少卑怯な手を使うことはあるだろうけど」
「何ですか? 卑怯な手って?」
思い当たることがないわたしは、首を傾げた。
「君にどうしても会いたくて、契約を盾にしたってこと。今日だって君の上司に『契約したんだから、尾関さんを貸してください』って言って連れ出した」
たしかに少々強引だった。普通のお客様になら応じていない。
「まぁ、言われてみれば、そうですよね」
「でも後悔はしてないし、これからも使えるものは何でも使う。それくらい、俺にとって君は……恵麻のことは逃がしたくないと思っているんだ」
恵麻って……呼んだ。
彼が隣に座るわたしの肩をぐっと引き寄せた。自然との肩に頭を乗せてもたれかかるような形になる。
「最初は、本当にただ面白い子だなぁって。俺からの申し出はおそらく魅力的だったはず。
それでも自分に必要なものだけを受け取りそれ以外は拒否した恵麻に興味があった。
仕事に一生懸命で、困っている人がいたら放っておけなくて。
からかったら恥ずかしそうにしている恵麻がいちいち可愛くて、気がついたら好きになっていた」
耳に心地の良い彼の声に耳を傾ける。思いの丈を打ち明けられて、胸がフワフワして心地よい。