【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
「神永さんのおっしゃる通り、わたしのやり方では大きな成果が出ないことが多いです。けれどわたしのやり方が間違っているとは思っていません」

「そうだろうね。そして俺は君のやり方に共感を覚る」

「え? わたしの考えが甘いってお話じゃなかったんですか?」

「そんなこと、一言も言ってないよ。早合点しすぎだ」

神永さんは少し呆れたように笑った。

「そもそもどうして、君は証券会社に就職しようと思ったの? それも営業職って女性には厳しい世界だと思うけれど」

たしかに就職サイトでも仕事の厳しさはよく目にした。

それでもわたしがこの仕事を選んだのには理由がある。

「うちの父がずっと株式投資をしていたんです。家には四季報があたりまえのようにあって、父は小さくて何もわからないわたしに一生懸命その説明をしてくれて。

中学生になったころには、部活や遊びで忙しくて父と一緒に過ごす時間がなくなって、すっかり忘れていたんです。それで――」
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