【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
ナビに案内されて到着したマンションを見てため息をもらいした。

いつも電車から大きなマンションだと思っていたのがどうやら彼の自宅らしい。

マンション前に車を停めると、中からスーツ姿の男性が出てきた。おそらくマンションのコンシェルジュだろう。

「神永様……いかがいたしましたか?」

「少し体調が悪くて、車お願いできますか?」

車から降りた彼は、スーツの男性に車のキーを差し出し手渡そうとした。しかし体がふらつき、男性に支えられる。

「神永さんっ!」

運転席から降りたわたしは慌てて彼に駆け寄った。

「車はこのままで構いませんので、先にお部屋までお連れします」

もうひとりのコンシェルジュが車を動かしてくれるようだ。わたしは自分と神永さんの荷物を持って、支えられて歩く彼の後をついて行った。

彼の部屋は三十二階建てマンションの最上階にあった。高速のエレベーターに乗ったけれど、体調が悪い彼を見ていると一刻も早く寝かせてあげたかった。

フロアに到着して、奥の部屋のドアの前で神永さんがセンサーに指を充てるとドアが開いた。

そのままコンシェルジュに支えられて中に入る。

「すみません。ベッドまでお願いできますか」

「はい。かしこまりました」

神永さんが、何か言う前にさっさとベッドまで運んでもらった。きっとわたしひとりじゃ移動させることなんて無理だろうから。

ずかずかと寝室まで足を踏み入れた。本来ならばプライベートな場所なので、遠慮してしかるべきなのは重々承知しているのだけれど今回は緊急事態だ。

とりあえずベッドに横になった神永さんを見て、ほっと一安心した。

車に乗ったときは気を張っていたのか、多少わたしをからかう元気があったように見えたが、今はベッドに横になり忙しない息遣いで苦しそうにしている。

「では、わたしはこれで。何かありましたらご連絡ください。医師の手配をいたします」

「はい。ありがとうございます」
< 75 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop