家庭訪問は恋の始まり
「それは、嘉人にとって、有益だと考えて
いいんだよね?」

「はい。
ADHDそのものには、学習障害はありません。
ただ、授業に集中できなくて、授業について
いけなくなる子がいるのも事実です。
嘉人くんは、元々は頭のいい子です。
学力に遅れはありません。
今後の課題は、いかに授業に集中させるか
という事と、いかにやりたくない宿題を
ちゃんとやって学力を定着させるかだと
考えてます。」

「じゃあ、通級はこのままでいいと思う?
それとも、週2時間に増やした方がいいと
思う?」

「通級の先生とも相談してみないと、ちゃんと
したお返事はできませんが、私個人としては、
このままでいいと思います。
現状で成果が出てますから。」

「分かった。
ありがとう、夕凪。」

瀬崎さんは、握った私の手を持ち上げて、そっと唇に触れさせた。

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