家庭訪問は恋の始まり
「もしかして、瀬崎さん、東京に引っ越すの?」

「いや、決まった訳じゃないんだ。
そういう選択肢もあるっていうだけの事
だから。」

そういう選択肢?
でも、瀬崎さんって、社長さんだよね?

「社長さんにも、転勤があるの?」

訳が分からなくて、酔いの回ったふわふわした頭で聞いてみる。

「くくっ
転勤はないよ。
今の会社は、元々、父の会社なんだ。
東京には母の親族がやってる会社があって、
うちの業績を見たその親族から誘われてね。
でも、そうすると、時間も自由にはならないし、
嘉人も転校させなきゃならない。
夕凪も連れていきたい。
って考えると、簡単には決められないな…と
思って。」

でも、簡単には決められないって事は…

「いろんな条件が許せば、東京に行ってみたい
って事?」

私がそう聞くと、瀬崎さんは、少し困った顔を見せた。

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