家庭訪問は恋の始まり
結局、瀬崎さんの甘い言葉の数々に翻弄されて、私はシャンパンを飲みすぎてしまった。

食事を終える頃には、私はなんだかふわふわとご機嫌になっていた。

「夕凪は、先生をずっと続けるの?」

「うん。
できれば、定年まで先生でいたいな。」

「そうなんだ。
じゃあ、もし、俺が東京に行くから、一緒に
ついて来てって言ったら、どうする?」

「ええ? 東京?
そしたら、東京の採用試験を受けなきゃ
いけないから、すぐにはいけないかなぁ。
東京はどうか分かんないけど、現役の教師だと
採用試験でいろいろ免除になる事もあるって
聞いた事があるから、忙しくても現役のまま
受けた方が有利らしいんだ。」

そう、公立の小学校の教員は、地方公務員だから、他の都道府県には転勤できない。

「そうなんだ。
先生も大変なんだね。」

瀬崎さんは、さらっと言うけど、私は何かが引っかかった。

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