家庭訪問は恋の始まり
私たちは仕事を終え、連れ立って学校を出る。

武先生の車の後について行き、駅前の市営駐車場に車を入れる。

「駐車券は持ってきてくださいね。
お店で駐車料金を清算してくれますから。」

武先生が教えてくれた。

私は、武先生の一歩後ろをついていく。

武先生が連れて来てくれたのは、駅前の複合ビルの最上階にあるワインバーだった。

ここは田舎ではあるけれど、駅前はそれなりに開けていて、窓から見える夜景はとても綺麗だ。

これ、明らかにデートコースだよね。

そんな気持ちもないのに、私なんかが来て本当に申し訳ない。

武先生は、自分のワインと私のノンアルコールのワインを注文してくれた。

「乾杯くらいはしてくれるよね?」

武先生に聞かれて、私は慌てて頷く。

「もちろんです。」

「乾杯。」

武先生に合わせて、グラスを持ち上げる。

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