家庭訪問は恋の始まり
「いえ、この間、お酒で失敗したので、
今、禁酒中なんです。
あ、武先生は遠慮なく飲んでくださいね。」

私はやんわりと武先生の送迎をお断りした。

「そうかぁ。
今日はワインが美味しいお店に行こうと
思ってたんだけど、やめた方がいいね。
夕凪先生、行きたい所ある?」

武先生は今日も優しい。

なんで私なんかにこんなによくしてくれるんだろう。

こんな風に気を使ってもらっても、気持ちは返せないのに。

「いえ、私は、どこでもいいので、
そのワインのお店でいいですよ。
今どき、どこでもノンアルコールの飲み物は
置いてあるでしょ?
きっと雰囲気だけでも楽しいと
思いますから。」

「そう? じゃあ、後ろについて来て。
もし、逸れた時のために、お店の情報も
送っておくね。」

武先生はそう言って、お店のホームページのURLを私のスマホに送ってくれた。

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