家庭訪問は恋の始まり
そう。
これは、成績を上げてもらうための賄賂と見なされかねない。

「んー、じゃあ、春まで預かってて。
で、春、夕凪が欲しいと思ったらもらって。
もし、いらないと思ったら、返してくれて
構わないから。」

預かる?

「中身は、何?
春まで放置してもいいもの?」

「ああ、大丈夫。
50年後でも使える物だから、安心して。」

そんなに長持ちする物?

「うん、じゃあ、分かった。
春まで預かるね。
開けてもいいの?」

「もちろん。
今、開けてごらん。」

瀬崎さんに言われて、紙袋を覗くと、中には落ち着いたラッピングの小さな箱。

リボンを解いて、赤い包装紙を捲ると、見た事のある有名ブランドの箱。

蓋を開けると、そこにはジュエリーケースと思しき箱が…

「瀬崎さん…?」

私はそれ以上、開けられなくて、瀬崎さんを見上げる。

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