家庭訪問は恋の始まり
「ええ!?
だって、私、教師なんだよ?
もらっても、学校にはしていけないんだよ?」

「そうか。
じゃあ、休日限定で。」

いやいや、休日も、こんな豪華な指輪をつけて出かけるような所に行く事もないし。

「気持ちだけいただくから。
本当に私なんかには勿体無すぎて、宝の
持ち腐れになるだけだから。」

私は断るけど、瀬崎さんも思いの外、頑固で。

「夕凪、夕凪がどうしてもって言うなら、春に
返してもらうから、今は夕凪が持ってて。」

そう言うと、瀬崎さんは私が右手に持っていた指輪を取り上げて、私の左手を取った。

まさか、このシチュエーションって…

私が一瞬息を飲んで固まってる間に、瀬崎さんは私の左手の薬指に、それをはめてしまった。

ぅわぁっ…
すっごく、きれい…

サイズもピッタリ。

でも、どうしよう!?

「うん。
よく似合ってる。」

瀬崎さんは満足そうにひとつ頷くと、

「じゃ、嘉人が待ってるから帰るね。」

と言った。

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