家庭訪問は恋の始まり
「奥様が羨ましいです。
かわいい子と素敵な旦那様がいて、
幸せですね。」

私が微笑んでそう言うと、一瞬、お父さんの顔が曇った。

「そうだといいんですが…」

あれ?
夫婦円満じゃないのかな?

これは、これ以上掘り下げない方がいいかも。

「では、長々とお引き止めして、
申し訳ありませんでした。
くれぐれも嘉人さんの事、よろしくお願い
しますね。」

私は立ち上がった。

「はい。
こちらこそ、よろしくお願いします。」

お父さんは深々と頭を下げる。

私も、同じように頭を下げた。

お父さんを玄関までお見送りして、私も帰り支度をする。




はぁ…

なんだか、今日は無駄にときめきが多い日だったな。

これが、全く恋に繋がらないところが、残念なんだけど…

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