家庭訪問は恋の始まり
今、思えば、酩酊状態のはずの彼女が、立ち上がり、抱きついて、唇を重ね、俺の服を脱がせ、あれこれ出来るはずがない。

俺は、まんまと酔ったふりに騙されて、簡単に落とされたんだと思う。

それでも、四面楚歌の状況にある俺にとって、彼女は唯一の安らぎだったし、心から愛してた。

10ヶ月後、彼女が身籠もると、俺はプロポーズをし、家族の反対を押し切って結婚した。

俺の家は無駄に広かったが、結婚に反対した両親との同居は彼女が嫌がった。

まあ、その気持ちは俺も分かるし、両親と同居ではイチャイチャしにくいので、俺は実家近くの父の土地を借りて新居を建てた。

土地は借りたが、家は全て俺の貯金とローンで賄った。

結婚して間もなく、嘉人が生まれ、俺たちは幸せな結婚生活を送っていた。

父は、結婚祝いか出産祝いのつもりだったんだろう。

俺は程なく、本社勤務になった。

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