家庭訪問は恋の始まり
とても丁寧に一生懸命説明してくれるその姿は、とても好感が持てた。

話も明瞭で分かりやすい。

少なくとも、妻が憤慨する理由はどこにもない。

病院は、予約が必要ですぐには見てもらえないと申し訳なさそうに説明する。

病院が混んでるのは、彼女のせいじゃないのに…

素直で一生懸命で優しくて…

俺はこんな女性と結婚していたら、幸せになれたんだろうか。

そんな事を思いながら、学校を後にした。



病院の予約を取り、妻にも俺から改めて説明する。

だが、妻は納得しない。

嘉人ができない事、嘉人が苦手な事は、妻も同じように苦手な事だった。

ネットの自己診断サイトを見ると、嘉人だけでなく、妻もADHDの可能性がある事になる。

彼女はそれを認めたくないのかもしれない。

その後、もともと冷え切っていた俺たちの関係は、さらに険悪なものとなった。

怒った妻は、もともと苦手だった家事の一切を放り出し、子育ても放棄した。

寝室も1人別の部屋に移動し、嘉人の宿題も連絡帳も見なくなった。

< 494 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop