家庭訪問は恋の始まり
嘉人くんは黙って首を横に振り、目にいっぱい涙を溜める。

「だったら、何があっても手を出すな。
代わってって言って代わってくれないなら、
代わってくれるまで言い続けろ。
それでも代わってくれなければ、先生に相談
するんだ。
先生は必ず我慢した嘉人の味方になって
くれる。
ですよね? 先生。」

そう言ってお父さんが私を見る。

なんだか、全幅の信頼を寄せられてるみたいで嬉しい。

「はい、もちろんです。
今日も嘉人さんが押したりしなかったら、
先生は礼央さんを叱ってたよ。
でも、嘉人さんが礼央さんにけがを
させちゃったから、先生は礼央さんより
嘉人さんを叱らなきゃいけなく
なっちゃったの。
でも、嘉人さんは今日、暴力はダメだって
覚えたから、もう大丈夫。
次からは、しないよね?
先生は、嘉人さんを信じてるよ。」
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