エリート社員の一途な幼なじみに告白されました
「あ、ありがとうございます」
 ちょっと格好良いと思ってしまった自分が照れくさくなり、目を逸らしてしまった。

「申し訳ないのですが、今日はこれを優先的にお願いします」
 環は私のキーボードの前に持っていたクリアファイルを置く。げっ、また新しい仕事のお願いですか。
 クリアファイルに目を落とすと、そのクリアファイルには何も挟まれていなかった。その代わり、青色の付箋に丁寧な字で、

『今日、19時、カンパネラ食堂』

 と描かれたメモが貼ってある。

 ――えっ、これって……どういうこと?

 状況が上手く飲み込めずに黙っていると、環は促すように、
「……どうですか、今日の予定は。急ぎの予定でもありますか」
 と事務的な口調で問いかけた。

「きょ、今日は特に急ぎの予定はありません」
「それなら、この付箋に貼ってある段取りでお願いします」

 今日、19時、カンパネラ食堂。今日は定時退社日で18時には仕事が終わる。つまり、19時ということは、定時退社後に、この場所に来い、っていうこと?

 それって、つまり、食事のお誘い!?

 思いがけない環の誘いに思わず顔を上げると、環はふっと顔を逸らして、自分の席へと戻っていってしまった。私は頭の中がぽーっとして、暫く付箋の文字を見つめた。

 男の人と食事するなんて何年ぶりだろう。相手が環とは言え、初日以来まともに話していないし、もし二人きりとなれば、さすがに緊張してしまう。
 その反面、やっと環と話せるのが嬉しいと思う自分も居て、私は一層、定時退社の時間が待ち遠しくなった。
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