エリート社員の一途な幼なじみに告白されました
「うちの家族は大丈夫。言ったでしょ、お母さんが環に会いたがってるって。それに夕食一人で食べるのつまんないし。外で遊ぶのも悪くないよ」
「……」
「一度行って嫌だったら、止めても良いからさ。ね?」
 僕は根負けして頷いた。

 それから梓は本当に梓の家族に僕のことを紹介してくれた。時々夕食をご馳走になったり、土日には遊びに出かけるようにもなった。

 梓はどこまでも優しかった。そして、そんな梓を出来るなら、ずっとこれからも傍で見ていたい、彼女の傍に居たい、と思った。

 僕の中で、もう梓の存在は特別なものになっていた。

 ――でも、僕と梓の別れは確実に迫っていた。
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