仮面夫婦～御曹司は愛しい妻を溺愛したい～
連絡先は一希が信用を置いている調査事務所。連絡を入れ美琴の調査を依頼した。

結婚したときに美琴の身上調査は行っていない。

家柄に問題はないし、素行に問題が有ったとしても結婚は避けられない状況だった為必要ないと判断したからだ。

だが、昨日の美琴の継母鈴本恵美子の言っていた内容は無視できない。

『美琴さん、かなりお金に困っているみたいなの。生活が回らなくなってしまったみたいで……でも神楽さんには言いづらいと言っていたわ』

予想外の訴えだった。

ただ、考えてみればそれらしい様子はあった。

彼女の恰好はいつも神楽家の妻として合格ギリギリのラインで、なんとか世間体を保てるようなものだったからだ。

なぜ美琴が経済的に困窮しているのか考えると、すぐに答えに行き当たった。

彼女が育った鈴本家は父親が病気で入院している。

美琴が自分が使えるお金を回していてもおかしくない。

今後について、美琴と話し合わなくてはならないと思った。

事情を正直に打ち明けてくれたら、一希が鈴本家を経済的に支援するつもりだった。

しかし美琴は一希の問いかけに不快そうな顔をし、話し合いを拒絶した。

実家の問題に一希を入れる気はないようだった。

一希を忌々しそうに睨み、拒絶の態度を崩さない。


美琴の口から聞くのが無理なら自分で調べるしかない。

調査機関を使えば、鈴本家の経済事情を調べるのなど容易い。

情報を揃え美琴が言い逃れ出来ない状況を作ってから話し合おうと考えた。
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