仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
『……御冗談を……あの子と結婚なんてあり得ない』
『あの子?……ああ、君にとって美琴は子供のままということか。心配しなくていい美琴はもう大人になっている。来年で二十四歳だ』
久我山俊三が穏やかに言う。
(そうだ、美琴という名前だった……だが)
あの子供だった美琴が二十四歳。一希とたった四歳しか違わない。
だが実感が沸かなかった。今となっては四歳の年の差は気にならないが、当時の一希にとって
美琴は遥か年下の子供に見えていたからだ。異性として意識できるはずもない。
『……なぜ、俺と結婚を望むのですか? こちらの事情を調べたのなら俺が久我山家の令嬢の夫に相応しくないと知っているはずです。あなたの孫娘ならば他にもっと良い相手を見つけられるでしょう』
一希の言葉に久我山氏は小さく息を吐いた。
『私はね、孫娘に幸せになって貰いたいんだよ。あの子を裏切らず十分な生活を与えられる相手を望んでいる。今の君ならば可能だろう。なにより美琴が君に好意を持っているからね』
『まさか、彼女に最後に会ったのはもう十年以上前だ』
好意などあるはずがないし、幼かった彼女が一希のことを覚えているのかも怪しい。
(どう考えても久我山家の意向だろう)
そう考えたが、久我山俊三は淡々とした口調で否定した。
『あの子?……ああ、君にとって美琴は子供のままということか。心配しなくていい美琴はもう大人になっている。来年で二十四歳だ』
久我山俊三が穏やかに言う。
(そうだ、美琴という名前だった……だが)
あの子供だった美琴が二十四歳。一希とたった四歳しか違わない。
だが実感が沸かなかった。今となっては四歳の年の差は気にならないが、当時の一希にとって
美琴は遥か年下の子供に見えていたからだ。異性として意識できるはずもない。
『……なぜ、俺と結婚を望むのですか? こちらの事情を調べたのなら俺が久我山家の令嬢の夫に相応しくないと知っているはずです。あなたの孫娘ならば他にもっと良い相手を見つけられるでしょう』
一希の言葉に久我山氏は小さく息を吐いた。
『私はね、孫娘に幸せになって貰いたいんだよ。あの子を裏切らず十分な生活を与えられる相手を望んでいる。今の君ならば可能だろう。なにより美琴が君に好意を持っているからね』
『まさか、彼女に最後に会ったのはもう十年以上前だ』
好意などあるはずがないし、幼かった彼女が一希のことを覚えているのかも怪しい。
(どう考えても久我山家の意向だろう)
そう考えたが、久我山俊三は淡々とした口調で否定した。