仮面夫婦～御曹司は愛しい妻を溺愛したい～
海外の工場で大きな災害が発生した為、対応に夜通しかかった。

始業時間すぐに対策会議を控えていたため、急ぎ自宅に着替えに戻った。

シャワーを浴びていると、美琴が起きて来た。

昨日の言い争いを思い出し、またなにか言われるのかと警戒する。

しかし彼女は昨日とは打って変わって笑顔で『おはよう』と挨拶をして来た。

戸惑いながらも返事をする。

朝食を作ったと言われたが、食事をする時間はないため断った。

災害の対応は当分続く為、構わなくていいと言い残し直ぐに家を出た。

それから一月は、体力には自信のある一希もうんざりする忙しさで疲労が日々蓄積していった。

自宅に滞在する時間も少なく、美琴と顔を合わす機会も殆ど無かったが、一希にとっては気が楽だった。

先日の言い合いの時は、子供を作ると豪語したものの、とてもそんな気にはなれないからだ。

出来れば先送りにしたかったので、家庭から仕事を理由に目を背けられる状況は、一希にとって幸いだった。

しかし、問題も解決しいよいよ美琴と向き合わなくてはならない時が迫っていた。



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