仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
「美琴に頼れるような身内はいないと思いますが」

その中には一希も含まれているのだろう。侮辱されたような気持ちになり、心の内はカッとなる。

「それはどういう意味だ?」

「言ったままです。頼る相手がいるなら美琴は俺に家庭の事情なんて打ち明けないでしょう?」

慧の主張に一希は反論出来なかった。確かに美琴は自分を頼ろうとしない。

「……だからと言って君は踏み込み過ぎではないのか? 昨日は美琴の実家まで行ったそうだな」

慧は怪訝な表情を浮かべたが、なにかに思い至ったように頷いた。

「昨日の電話を聞いてたんですね、ただ誤解しているようだ」

「誤解? 君が昨日美琴と会い、実家の兄弟たちと会ったのは確かだろう」

美琴も否定はせずに開き直ったように一希にうんざりとした視線を送って来た。

もし誤解だと言うなら、弁解をしたはずではないか。

慧は美琴のように煩わしそうな様子は見せず、落ち着きはらった様子で答える。

「神楽さんは俺が美琴の実家にまで言って弟達と会ったと思い込んでいるようですね。実際は違いますよ。美琴とは昨日、俺たちの中学がある地元で会いました、ただし他の友人たちも一緒だった。兄弟に会ったのは偶然です」
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