仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
第一秘書は一希が仕事で利用したことのない、新しい料亭を手配した。
約束の時間より前に到着したが慧はそれよりも先に着いており、離れの客室の席に落ち着いた様子で着き、庭の景色に目を向けていた。
一希の到着に気付くと、彼は洗練された動作で立ち上がり出迎える。
「急に呼び出して申し訳ない、座ってくれ」
慧は再び着席すると、気負いの全くない様子で一希を見据える。
その堂々とした様子に居心地の悪さを感じながらも、用意していた言葉を切り出した。
「早速だが、妻の実家の件で君にも面倒をかけていると聞いた」
「それは誤解ですね。たしかに友人として彼女の相談に乗ることはありますが、面倒だなんて感じていませんので」
一希としては美琴の実家の問題から手を引くようにとの意味を込めて発した言葉だった。しかし慧はわざと気付かないふりをしているのか、さらりと流してしまう。
僅かに眉を寄せながら、今度は曖昧さをなくしはっきりと伝える。
「そうか。だが今後は友人としての手助けも不要だ。鈴本家の問題は身内で対処する」
不要とまで言ったのだから、さすがに手を引くだろうと思った。
けれど慧は予想外に苦笑いになった。
約束の時間より前に到着したが慧はそれよりも先に着いており、離れの客室の席に落ち着いた様子で着き、庭の景色に目を向けていた。
一希の到着に気付くと、彼は洗練された動作で立ち上がり出迎える。
「急に呼び出して申し訳ない、座ってくれ」
慧は再び着席すると、気負いの全くない様子で一希を見据える。
その堂々とした様子に居心地の悪さを感じながらも、用意していた言葉を切り出した。
「早速だが、妻の実家の件で君にも面倒をかけていると聞いた」
「それは誤解ですね。たしかに友人として彼女の相談に乗ることはありますが、面倒だなんて感じていませんので」
一希としては美琴の実家の問題から手を引くようにとの意味を込めて発した言葉だった。しかし慧はわざと気付かないふりをしているのか、さらりと流してしまう。
僅かに眉を寄せながら、今度は曖昧さをなくしはっきりと伝える。
「そうか。だが今後は友人としての手助けも不要だ。鈴本家の問題は身内で対処する」
不要とまで言ったのだから、さすがに手を引くだろうと思った。
けれど慧は予想外に苦笑いになった。