仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
そうなった経緯は知らないが、一希の両親は家庭内別居をしている。

家庭内と言っても神楽家の広い敷地内での別居の為、生活する上で夫婦が顔を合わす機会は無い。

美琴が呼び出されたのは、義母寛子が生活している離れの一室だった。

家政婦も下がらせているようで、寛子自らが美琴を出迎えた。

「待っていたわ」

寛子は美琴を小さな和室に通し、しっかりと扉を閉めた。

警戒しいているような態度から、よくない内容の話になるのだと分かる。

恐らくそうだろうと覚悟はしていたけれどが、重苦しい気持ちになった。

美琴が指定された場所に座ると、寛子はお茶を出すこともなく話を切り出して来た。

「以前にも話した一希との離婚の件だけど、その後どうなっているのかしら」

「……一希さんから離婚に向けて調整すると言われました」

「あらそう」

寛子は意外そうな表情をした。

(一希はお義母さんに話していないの?)

寛子も一希も離婚の意思は同じなのに、情報は共有していないということなのか。

ふたりの関係は未だによくわからない。

「それで具体的にいつ頃になりそうなの?」

「はっきりしたことはまだ決まっていません。直ぐにというのは無理のようですし」

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