仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
「今から学校に行くのは考えもしなかった。でもそういう道もあるんだね、慧って本当に前向きだよね」

「美琴が諦め癖つき過ぎてるんだよ、まあ環境を考えれば仕方ないけどこれからは自分の気持ちを優先していけよ」

「うん……」

慧と同じカフェラテを飲みながら考える。

(自分の気持ちを優先……今まではそんなことは駄目だと思ってたけど、実際私がいなくても実家は回るんだよね)

「なあ……本当にこれでいいのか?」

「え?」

「神楽さんとのこと。離婚が嫌だったらそう言うべきだからな」

「……うん。大丈夫、ちゃんと考えてるから」

そう答えれば慧はそれ以上追及はしてこなかった。

「そうか」と言い、窓の外に目を向ける。

「春には何もかも片付いているんだろうな」

「そうだね、あと少し」

冬が終わり桜咲く頃、美琴は一希と離れ独りになる。

「まあ……俺の助けが必要だったら遠慮なく言えよ? これから先も」

慧が神妙な顔で言う。

「改まってどうしたの? でもありがとううね。慧には本当に感謝してるよ」

自分が耐えるしかないと、凝り固まった考えを変えるきっかけを与えてくれたのは慧だ。

「これからもよろしくね」

笑顔で言うと、慧は少し照れたように頷いた。
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