仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
「そんな……どうしてそこまでしたんですか?」
「お前達ふたりが結婚するのが一番良いと判断したからだ」
「でも結局離婚になります。お祖父様は以前、私を鈴本家から離す為に結婚を進めたって言ってましたよね。母のことで後悔しているからしっかりした相手と結婚させたかったと。その気持ちは有りがたいですけど、でも相手を脅してまで結婚を私はしたくなかった、一希にだって申し訳ないです」
怒りと失望が胸中を渦巻いている。
「美琴の言い分も分る。しかし私は後悔していないよ」
「どうして?」
(私も一希も不幸になったのに)
美琴には到底理解出来ない。
「……一希を脅した内容を教えて下さい」
それを知れば、こうなった理由も分るかもしれない。
「それは言えない。一希君と口外しないと約束しているからな。美琴が相手でも例外ではないんだよ」
「でも私は当事者なんだから知る権利があると思います」
どうしても知りたかった。
一希が何を考えていたのか、どんな気持ちで暮らして来たのか、そして今、神楽グループ後継の立場を失った結果をどのような気持ちで受け止めてるのか。
(一希……後悔しているの?)
珍しく執拗に縋る美琴に対して祖父は頑なだった。決して口を割ろうとしない。
「知りたいのなら一希君本人に聞きなさい」
「でも、一希がどこに居るのか分からないんです」
「ならば探せばいい。方法はいくらでもあるだろう」
「そんな……」
方法が無いから聞いているのに。
一希の交友関係も、思い出の場所も何も知らないのだ。
(夫婦だったのに何も知らないんだ……)
結局いくら頼んでも答えは貰えず、項垂れて自室に戻った。
「お前達ふたりが結婚するのが一番良いと判断したからだ」
「でも結局離婚になります。お祖父様は以前、私を鈴本家から離す為に結婚を進めたって言ってましたよね。母のことで後悔しているからしっかりした相手と結婚させたかったと。その気持ちは有りがたいですけど、でも相手を脅してまで結婚を私はしたくなかった、一希にだって申し訳ないです」
怒りと失望が胸中を渦巻いている。
「美琴の言い分も分る。しかし私は後悔していないよ」
「どうして?」
(私も一希も不幸になったのに)
美琴には到底理解出来ない。
「……一希を脅した内容を教えて下さい」
それを知れば、こうなった理由も分るかもしれない。
「それは言えない。一希君と口外しないと約束しているからな。美琴が相手でも例外ではないんだよ」
「でも私は当事者なんだから知る権利があると思います」
どうしても知りたかった。
一希が何を考えていたのか、どんな気持ちで暮らして来たのか、そして今、神楽グループ後継の立場を失った結果をどのような気持ちで受け止めてるのか。
(一希……後悔しているの?)
珍しく執拗に縋る美琴に対して祖父は頑なだった。決して口を割ろうとしない。
「知りたいのなら一希君本人に聞きなさい」
「でも、一希がどこに居るのか分からないんです」
「ならば探せばいい。方法はいくらでもあるだろう」
「そんな……」
方法が無いから聞いているのに。
一希の交友関係も、思い出の場所も何も知らないのだ。
(夫婦だったのに何も知らないんだ……)
結局いくら頼んでも答えは貰えず、項垂れて自室に戻った。