仮面夫婦～御曹司は愛しい妻を溺愛したい～
一希を探す方法を見いだせないまま落胆した時間を過ごしている中、慧から連絡が入った。

『神楽さんが見つかった』

そのメッセージを見た瞬間、美琴の胸は一際強く脈打った。


慧の調査により、一希は東京から車で三時間程の町のホテルに滞在していることが分かった。

ホテルの名前には聞き覚えが有った。

少し考えて、以前一希の部屋で見つけた宿泊領収書に記載のあったホテルだと思い出した。

あの時は同室に泊まった同行者がいたようだったが、今回はひとりのようだと慧が言っていた。

美琴は手早く荷物をバッグに纏めると、高速バスを予約して一希の居る街へ向かった。

押しかけることで、彼に何を言われるのか不安は有った。

けれどそれ以上に、一希と話したかった。全てを知りたかった。


山に囲まれた町は観光地としても有名な所で、沢山のホテルが立ち並んでいる。

慧の家の葉月リゾートホテルもあるそうだ。

高速バスを降りタクシーに乗る。一希の宿泊先ホテル名を告げると難なくエントランスまで運んでくれた。
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