残念な王子とお節介な姫
帰宅後、結が夕飯を作ってくれる。

俺はゲームをしながら、待つ。

俺は家事がほぼできない。

だから、下手に手伝って邪魔をしないよう、結が料理をしている間は、キッチンに入らないようにしている。


「できたよ〜。
手、洗って来て。」

結が呼ぶ。

「今、セーブ出来ない!!
1分待って。」

俺がわがままな返事をしても、結は怒らない。

結は、まさに理想の女だと思う。



「いただきます。」

2人で手を合わせて食べ始める。

食べながら、俺は口を開いた。

「今日、課長に呼ばれたの知ってる?」

「うん。」

「俺、転勤になるらしい。」

「嘘!?」

「ほんと。大阪だって。」

「決まりなの?」

「うん。係長すっ飛ばして、課長だって。
一応、栄転らしい。」

「すごい! おめでとう!!」

祝福しつつも、結の顔はいつもの笑顔じゃない。

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