残念な王子とお節介な姫
「結、そんな不安そうな顔するな。
大阪なんて新幹線で2時間半だから、帰れる
限り帰ってくるよ。」

「うん。」

結は頷きながらも、大きな目を潤ませる。

「結…」

俺は箸を置いて立ち上がり、結の方へ回ると、そのままそっと結を抱き寄せた。

その途端、結の目からは、涙が止めどなく溢れ、嗚咽も漏れた。

「海翔と離れるなんて嫌だよ。
海翔は平気なの?」

結が掠れる声で絞り出すように言う。

「平気な訳ないだろ。
だけど、俺は結が思ってるより、ずっと
結を愛してる。
だから、結が心変わりしない限り、
俺たちは離れても大丈夫だ。
きっと乗り越えられる。」

そう言って、俺は結を抱く腕に力を込めた。


ほんの数ヶ月だ。

数ヶ月で絶対に立て直してみせる。

だから、結…

待っててくれ。
< 14 / 262 >

この作品をシェア

pagetop