残念な王子とお節介な姫
しばらくすると、姫は、起き上がって、

「顔、洗ってきます。」

と洗面所へ向かった。


失敗したな。

結への会いたさが募って、あんな事をしてしまうなんて。


だけど…

幸せな夢だった。

夢から覚めなきゃよかった。

結…

会いたい…



しばらくして、姫が戻ってきた。

綺麗に化粧を直した顔には、ぎこちない笑みが浮かんでいた。

一生懸命、姫なりに気を遣って、笑おうとしてくれているだろう。

「課長、デザート食べましょ?」

姫が笑って言った。

「ああ。そうだな。」

俺がそう答えると、姫はタルトを切り分けにキッチンへと向かった。

姫がドリップしてくれたコーヒーのいい香りが部屋中に立ち込める。

姫がコーヒーと共に、綺麗に切り分けたタルトを皿に乗せて運んでくれた。
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