残念な王子とお節介な姫
「女の子だよ。
だから、俺のベッドに寝かせる訳には
いかないだろ。」

「お前が襲わなきゃ、大丈夫だよ。
だいたい、何の覚悟もなく、女の子が毎週末、
男の部屋に来てると思ってたのか?」

「えっ?」

「ほんと、お前は、見た目だけ王子の残念な
奴だな。
姫ちゃんだって、子供じゃないんだ。
それなりの覚悟をして、この部屋に来てるに
決まってるだろ。」

「だって、さっきもちょっと足を触っただけで
真っ赤になってたじゃないか。」

「バカだな。
赤くなるのと、触られたくないのは、
違うんだよ。
さっきのがもし俺だったら、赤くならずに、
『大丈夫です』って落ち着いて断ってたと
思うぞ。」

そういうものなのか?
オタクを卒業したところで、恋愛の経験値が上がる訳ではなく、俺は相変わらず、不器用なままだ。
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