残念な王子とお節介な姫

「ん、奈々?」

課長が目を覚ました。

「おはようございます。」

「ん、おはよう。
メリークリスマス、奈々。」

課長がうちを抱きしめる。

「メリークリスマスです。課長。」

「奈々、もう課長はないんじゃない?」

「え? せやけど、他に何てゆうたら…」

「海翔。海翔でいいよ。」

「海翔…さん?」

「くくっ
『さん』はいらない。
呼び捨てでいいよ。
彼女の特権。」

きゃー!!
なんや、それ!?

うち、うち、彼女なんや。

めっちゃ、嬉しい!!

「海翔?」

「うん。」

「ふふっ
海翔、大好き。」

うちは、海翔に抱きついた。

「ん、奈々、俺も好きだよ。」

海翔がうちのおでこにキスをする。

うちは、海翔の手を握った。

ん?

あれ?

右手に違和感を感じて、うちは握った手を離して、顔の前に持ってきた。
< 234 / 262 >

この作品をシェア

pagetop