残念な王子とお節介な姫

「姫、どうした?」

「………課長は、4月に1人で大阪に
来たやないですか。
現地妻が欲しいて思った事、あります?」

「は?」

思わず聞き返したが、その直後、下唇を噛んだ姫の目が、潤み始めた。

「姫、そこの小会議室で待ってろ。
俺もすぐに行くから。」

俺は姫を先に会議室へ行かせて、会議室を1時間押さえ、ホワイトボードに『行き先:小会議室』と記入した。

俺が会議室へ入ると、姫はハンカチを握りしめて座っていた。
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