残念な王子とお節介な姫
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俺が出勤すると、始業前に姫が課長席にやってきた。
「課長、報告があります。」
「ん? なんだ?」
いつももっとフランクなのに、どうした?
「ご心配をおかけしましたが、昨日、きちんと
お別れしてきました。
今日から、これまで以上に仕事を頑張ります
ので、よろしくお願いします。」
姫がペコリと頭を下げる。
顔を上げた姫は、瞼が少し腫れていた。
「昼飯、奢ってやるから、食べたい物考えて
おけ。」
俺がそう言うと、姫は、
「ええ!?
そういう時は、普通、飲みに連れてって
くれるんやないですか?」
と減らず口を叩く。
「無理。
今日から、家で結が待ってるから、まっすぐ
帰る。」
「いや、うちがこんなに不幸やのに、課長は
ラブラブ幸せやなんて、不公平やわ。」
姫が口を尖らせる。
本当にラブラブならいいのにな…
俺は誰にも本当の事は言えないでいる。
姫の素直さが少し羨ましい。