残念な王子とお節介な姫
・:*:・:・:・:*:・

7月1日(月)

「結、おはよう。」

俺は隣で眠る結に声を掛ける。

「ん、おはよう。」

結が気怠そうに挨拶を返す。

「結、朝ご飯、食べられそう?」

「んー、今は無理かも。
コーヒーの匂いも辛いから、海翔1人で朝ご飯
食べられる?」

「大丈夫だよ。
一昨日まで毎日1人で食べてたんだから。
勝手に仕事行くから、結は好きなだけ
寝てて。」

俺はベッドに結を残して、出勤準備をする。

支度を終えた俺は、寝室に戻って、結の額にそっとキスを落とす。

「いってきます。」

俺は出来るだけ明るく笑って手を振った。

「いってらっしゃい。」

背中越しに結の声を聞いて、切なくなった。

結が、ここにいる。

俺を見送ってくれる。

それだけで、なんて嬉しいんだろう。

例え、結の心がここになくても。

俺は、一瞬、振り返って、愛しい結に微笑んで、部屋を後にした。

< 69 / 262 >

この作品をシェア

pagetop