愛のない部屋

タキが考案した罰ゲーム。

途中で逃げ出した理由が、
峰岸の過去を知りたくなかったからだと、
冷静な頭では理解できた。


彼が今までどんな恋愛をして来たなんて、知らない方が良い。

過去に戻って彼女たちから峰岸を奪うこともできないし。将来、ずっと一緒にいられるかということすら疑問なのだから。


「私はタキや舞さんのように、永遠の恋を信じることができない。好きだと言ってくれたことは凄く嬉しいけれど……」


「良いよ」



背中に回されていた手が、今度は髪に触れた。


「無理して恋をしようなんて思うなよ。ただ、覚悟しとけ」


髪にキスをおとし、ニヤリと笑う。


「絶対、俺なしでは生きられなくしてやるから」


「ばーか」



自意識過剰。



「私の心はそっとやちょっとで、溶かされないよ」


「上等だ」









傷付いた2人が向かう先が、再び傷跡をえぐりだす道なのだと


警告音を無視した私は、まだ知らない。



< 149 / 430 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop