愛のない部屋

峰岸の言う通り、タキと舞さんの絆を信じなければいけないのに心のどこかでやはり永遠の恋なんて存在しない……と思ってしまう。


「私、最低だっ」


のんきに温泉に向かった峰岸に置き去りにされてひとり部屋にいても落ち着かない。

タキから教えてもらった舞さんの番号に何度も何度も電話をかけてみても、留守電に繋がるだけだ。



――前にも、同じことがあった。




突然いなくなった両親に一日中、電話を掛けていたのに。


一度も繋がらなかった。


そして今も、途絶えたまま。


だから峰岸のように"すぐ帰ってくる"なんて、悠長に構えてられない。


もしこのまま舞さんがタキの傍を離れてしまうとしたら――悪いことばかり考えてしまう。



「捜しに行こう」


じっとしているよりはマシだと、部屋を飛び出した。





旅館の中にはいないだろうから、周辺を探してみよう。



駆け足で外に出れば、
こちらに背を向けた峰岸がいた。

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