愛のない部屋
峰岸は私にとって居心地のいい存在。
2人はラフな関係。
少し前はそうだったはずなのに。
今は一緒にいると胸が押し潰されそう。
知らぬ間に大きくなった感情に翻弄された私は、
また恋をしてしまった。
「もう良いから、舞さんを探そう」
「よくない。一度、ちゃんと話がしたい」
「なにを話すの?」
それには答えず、峰岸は駆け出した。
はぁ?いきなり何?
「いたぞ!」
「えっ?」
踏切の向こう側に舞さんがいた。
「舞さん!」
私が追い付けない速度で峰岸が前を走り、徐々に舞さんとの距離も縮まっていく。
私たちに気付いた舞さんは逃げようとはせずに静かに頭を下げた。