愛のない部屋

峰岸は私にとって居心地のいい存在。
2人はラフな関係。

少し前はそうだったはずなのに。


今は一緒にいると胸が押し潰されそう。
知らぬ間に大きくなった感情に翻弄された私は、
また恋をしてしまった。


「もう良いから、舞さんを探そう」


「よくない。一度、ちゃんと話がしたい」


「なにを話すの?」



それには答えず、峰岸は駆け出した。


はぁ?いきなり何?



「いたぞ!」


「えっ?」



踏切の向こう側に舞さんがいた。


「舞さん!」


私が追い付けない速度で峰岸が前を走り、徐々に舞さんとの距離も縮まっていく。



私たちに気付いた舞さんは逃げようとはせずに静かに頭を下げた。

< 159 / 430 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop